ユニリーバがプラントベース食品の年間売上目標を1,200億円にすると発表

 欧米にて植物性タンパク質食品の開発に一早く着手してきた欧州有力企業のユニリーバが先月、2027年までのプラントベース食品の年間売上目標を、10億ユーロ(約1,200億円)とすると発表した。

 ベンアンドジェリーズ(Ben & Jerry’s)、ヘルマンズ(Hellmann’s)、マグナム(Magnum)などのブランドによる売上が要になると予測される。2年前にユニリーバの傘下に入ったベジタリアン・ブッチャー(The Vegetarian Butcher)と共同開発する新商品による売上の伸びも期待される。

The Vegetarian Butcherの商品
(引用元:The Vegetarian Butcher

 今回打ち出された売上目標は、ユニリーバ社独自の取り組み「フューチャー・フーズ・イニシアティブ(Future Foods initiative)」の一貫となる。この取り組みは、大手食品メーカーのユニリーバ自らが、「健康的でサステイナブルな食を皆に届ける」(”to make healthier and sustainable food affordable for everyone”)ことを目指すきっかけとなった。

 同取り組みの一環としてユニリーバは、2025年までに工場から売り場までの食品廃棄物を現在の半分に削減する、といった目標も掲げている。その他にも、引き続き自社の製品においてカロリー、塩分、糖分の削減に努めるとも宣言している。

引用元:ユニリーバジャパン


“食肉消費の削減は必要不可欠”

 「なぜプラントベース食品なのか?」という問いに対してユニリーバは、
「畜産農業は、化石燃料の次に多くの温暖化ガスを排出している。同時に、畜産によって森林伐採、水質・大気汚染、生物多様性の消失などの環境問題も引き起こされている。」

「食肉消費の削減は必要不可欠。多種多様な植物性の食生活は、私たちの健康のためにも、惑星全体の健康のためにも、より良いものだと自負している。ただ、もし人々にそのような食生活への変化を求めるなら、プラントベース食品という選択肢がより身近で、手頃な価格帯で、おいしいものである必要があると私たちは考える。」
とコメントしている。また、この売上目標はより多様なプラントベース食品の拡大につながると、ユニリーバは付け加えている。
        

“私たちはこの惑星を失わせない”

 ユニリーバ 食品ビジネス部長のハンネケ・フェーバー(Hanneke Faber)氏は、「どうしたら世界がよりプラントベースの食事に移行していけるか、という問いに対する答えを『フューチャー・フーズ・イニシアティブ』は見つけ出してくれるでしょう。そうすれば私たちはこの惑星を失わずに済むかもしれません。」とコメントしている。

ユニリーバ 食品ビジネス部長のハンネケ・フェーバー(Hanneke Faber)氏 
(引用元:ユニリーバ公式サイト

 またフェーバー氏は続けて、
「現時点での代替肉・代替乳市場の成長は、まだ始まりに過ぎないと思います。食肉・乳製品市場全体と比べれば、この市場はまだほんの小さなものです。」「植物性食品が最も普及している地域でも、食肉・生乳の5%ほどの規模でしかない。ただ、将来はこれが50%にまで成長するだろうという予測も立てられている。」とも述べている。