世界初の培養肉レストランがイスラエルにオープン
| イスラエルの培養肉ベンチャー企業であるスーパーミート(SuperMeat)は、実験室で作られた培養肉を提供する世界初のレストラン「The Chicken」をオープンした。
イスラエルの都市テルアビブにオープンしたばかりの「The Chicken」では、細胞培養などを行う装置であるバイオリアクターで細胞から育てたタンパク質から作る培養鶏肉を提供している。レストランは工場に隣接しており、大きな窓からはレストランの様子が見えるようになっている。
現在のところ、客はレストランで食事代を支払う必要はないという。その代わりに本格的な生産に向けて、実験室で育てられた培養鶏肉へのフィードバックを求められる。
スーパーミートは、培養肉を商業化する上での3つの重要な課題に取り組んでいる。それは、拡張可能な製造工程、動物性製品と同等のコストを実現する明確な道筋、高品質で栄養価が高く、おいしい培養鶏肉製品の生産だ。
同店では現在、2種類のスーパーミートのチキンバーガーを提供している。それぞれクリスピーなチキンフィレ、甘みを抑えたブリオッシュバンズ、そして定番のトッピングが含まれている。培養鶏肉以外のメニューはプラントベースになっており、根セロリのサラダ、バターナッツかぼちゃのソテー、バニラムースを添えた白いトルテなどがある。
「鶏のヒレ肉はパン粉をつけて揚げているので、外はカリッと、中は柔らかくジューシー。深い鶏肉の風味と香りがある。」と、スーパーミートのCEO兼共同創業者であるイド・サヴィール氏は語った。「試食した人や実験したシェフたちは、この商品の可能性に興奮し、従来の鶏肉と区別がつかないと言っていた。」と話す。
今回の発売は3年間の研究開発による成果の賜物であり、その間スーパーミートは大量生産を可能にすべくプロセスの効率化に取り組んでいた。
培養肉は持続可能か?
畜産は非常に非効率的だと言われている。大量の土地、資源、エネルギーを使用し、温室効果ガスの排出やその他の汚染物質をもたらしている。一部の専門家によると、世界各地で生息地の消失をもたらしている最大の原因が畜産業であり、畜産業は人間が排出する量全体のうち約14.5%を占めているという。
培養肉は、持続可能な代替手段となる可能性を秘めている。培養肉の多くは動物の細胞から作られているため、ビーガンではない。しかし細胞を活用する農業は、従来の動物を扱う農業に比べて環境や動物そのものへの影響が大幅に少ない。
コンサルタントファームのATカーニーが昨年発表した報告書によると、2040年までに消費される食肉の大部分は屠殺された動物由来のものではなくなるとのことだ。この報告書では、全食肉の約60%が植物由来か細胞由来になるとしている。
培養鶏の製造工程の効率化を実現した今、スーパーミートは食品会社や原料調達を行なう企業との提携を目指している。また、高品質で影響の少ない培養肉製品の開発を続け、世界的に普及させることを目標としている。培養肉はまだ連邦政府の承認を得ていないが、早ければ2021年には市場に出回る可能性があるという。
参考サイト: https://www.livekindly.co/first-lab-grown-meat-restaurant/